おおきな木
シェル・シルヴァスタイン
村上春樹 訳
あるところに、いっぽんの木がありました。
その木は
ひとりの少年の
ことが
だいすきでした。
だれよりも
木はしあわせでした。
少年はだんだんおおきくなっていきます。
「ぼくにおかねをちょうだい」
と少年はいいました。
「ごめんなさい、おかねはないの」と木はいいました。
「わたしにあるのは、はっぱとりんごだけ。
りんごをもっていきなさい、ぼうや。それを
まちでお売りなさい。そのおかねで
しあわせにおなりなさい」
・・・・・
「あなたになにかを
あげられたらいいのだけそ・・・
でもわたしにはもうなにものこっていない。いまのわたしは
ただのふるい切りかぶ。わるいんだけど・・・
