雨ニモマケズ
宮沢賢治・作
柚木沙弥郎・絵
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ヒデリノトキハ
ナミダヲナガシ
サムサノナツハ
オロオロアルキ
ミンナニ
デクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
ソウイウモノニ
ワタシハナリタイ

よだかの星
宮沢賢治・作
ささめやゆき・絵
よだかは、実にみにくい鳥です。
顔はとことどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。
足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。
ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという工合でした。
たかという名のついたことは不思議のようですが、これは一つはよだかのはねが無暗に強くて、風を切って翔けるときなどは、まるで鷹のように見えたことと、も一つはなきごえがするどくて、やはりどこか鷹に似ていた為です。
もちろん、鷹は、これをひじょうに気にかけて、いやがっていました。
それですから、よだかの顔さえ見ると、肩をいからせて、早く名前をあらためろ、名前をあらためろと、いうものでした。
ある夕方、とうとう、鷹がよだかのうちへやって参りました。
「おれがいい名を教えてやろう。市蔵というんだ。市蔵とな。いい名だろう。そこで、名前を変えるには、改名の披露というものをしないといけない。いいか。それはな、首へ市蔵と書いたふだをぶらさげて、私は以来市蔵と申しますと、口上を云って、みんなの所をおじぎしてまわるのだ。」
「そんなことはとても出来ません。」
よだかは、じっと目をつぶって考えました。
夜だかはまるで雲とすれすれになって、音なく空を飛びまわりました。
一疋の甲虫が、夜だかののどに、はいりました。
よだかの咽喉をひっかいてばたばたしました。
よだかはそれを無理にのみこんでしまいましたが、その時、急に胸がどきっとして、夜だかは大声をあげて泣き出しました。

氷河鼠の毛皮
宮沢賢治・作
堀川理万子・絵
十二月の二十六日の夜八時ベーリング行の列車に乗ってイーハトヴを発った人たちが、どんな眼にあったか、きっとどなたも知りたいでしょう。
これはそのおはなしです。

「何せ向こうは寒いだろうね。」
向こうの紳士が答えました。
「いや、それはもう当然です。」
「あなたは何べん行ったね。」
「私は今度二遍目ですが。」
「どうだろう、わしの防寒の設備は大丈夫だろうか。」
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夜がすっかり明けて東側の窓がまばゆくまっ白に光り西側の窓が鈍い鉛色になったとき汽車が俄にとまりました。
みんなは顔を見合わせました。
そのとき赤ひげがまるで違った物凄い顔をしてピカピカするピストルをつきつけてはいって来ました。
そのあと二十人ばかりのすさまじい顔つきをした人が、どうもそれは人をいうよりは白熊といった方がいいような・・・大きなピストルをみんな握って車室の中まではいって来ました。
先登の赤ひげはまだ睡っていたゆうべの偉い紳士を指さして云いました。
「こいつがイーハトヴのタイチだ。ふらちなやつだ。
イーハトヴの冬の着物の上にねラッコ裏の内外套と海狸(びばあ)の中外套ね、黒狐表裏の外外套を着ようというんだ。
おまけにバテント外套と氷河鼠の頸のとこの毛皮だけでこさえた上着も着ようというやつだ。
これから黒狐の毛皮九百枚とるとぬかすんだ、叩き起こせ。」
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カイロ団長
宮沢賢治・作
こしだミカ・絵
「舶来ウェスキイ 一杯 二厘半。」
あまがえるは珍しいものですから、そろそろ店の中にはいって行きました。
とのさまがえるはコップにその強いお酒を汲んで出しました。
「ウウィ。」
「もう一杯早く。」
あまがえるはお代りお代りで、呑めば呑むほどもっと呑みたくなります。
あまがえるはみんな、キーイキーイといびきをかいて寝ました。
とのさまがえるは
「おい。起きな。勘定を払うんだよ。さあ。」
「お前たちはわしの酒を呑んだ。その勘定どうじゃ。無かろう。おれのけらいになれ。」
「おい。みんな今日は石を一人で九百貫ずつ運んで来い。」
「とても私らにはできません。私らはもう死にそうなんです。」
「えい、意気地なしめ。早く運べ。みんな警察へやってしまうぞ。警察ではシュッポォンと首を切るぞ。ばかめ。」
かたつむりの吹くメガホーンの声はいともほがらかにひびきわたりました。
「王さまの新しいご命令。
一個条。ひとに物を云いつける方法。
第一、ひとにものを云いつけるときはそのいいつけられるものの目方で自分のからだの目方を割って答を見つける。
第二、云いつける仕事にその答をかける。
第三、その仕事を一ぺん自分で二日間やって見る。
以上。その通りやらないものは鳥の国へ引き渡す。」
云いつけられるわれわれの目方は拾匁、云いつける団長のめかたは百匁、百匁割る拾匁、答十。
「団長さん。ああこれから晩までに四千五百貫目、石をひっぱって下さい。」
カイロ団長は、つなを引っ張りましたが、石はびくとも動きません。
フウフウ、おしまいの時は足がキクッと鳴ってくにゃりと曲ってしまいました。
「王様の新しいご命令。
すべてあらゆるいきものはみんな気のいい、
かあいそうなものである。けっして憎んではならん。
以上。」
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狼森(オイノもり)と笊森(ざるもり)、盗森(ぬすともり)
宮沢賢治・作
片山健・絵
小岩井農場の北に、黒い松の森が四つあります。
いちばん南が狼森(オイノもり)で、その次が笊森(ざるもり)、次は黒坂森(くろさかもり)、北のはずれは盗森(ぬすともり)です。
四人の、けらを着た百姓たちが、
「どうだ。いいところだろう。畑はすぐに起こせるし、森は近いし、きれいな水もながされている。それに日あたりもいい。」
四人の男たちは、てんでにすきな方へ向いて、声を揃えて叫びました。
「ここへ畑起こしてもいいかあ。」
「いいぞお。」森が一斉にこたえました。
「ここに家建ててもいいかあ。」
「ようし。」森は一ぺんにこたえました。
その年の秋、穀物がとにかくみのり、新しい畑がふえ、小屋が三つになった。
ところが・・・
九人のこどもらのなかの、小さな四人がどうしたのか夜の間に見えなくなっていたのです。
その辺をあちこちさがしましたが、こどもらの影も見えませんでした。
そこでみんなは、てんでにすきな方へ向いて、一緒に叫びました。
「たれか童ゃど知らないか。」
「しらない。」と森は一斉にこたえました。
「そんだらさがしに行くぞお。」とみんなはまた叫びました。
「来お。」と森は一斉にこたえました。
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貝の火
宮沢賢治・作
おくはらゆめ・絵
子兎のホモイは、ぴんぴん踊りながら小さな流れの岸まで来て居りました。
すると不意に流れの上の方から、
「ブルルル、ビイ、ビイ、ビイ、ブルルル、ビイ、ビイ、ビイ、ビイ。」
うす黒いもじゃもじゃした鳥のような形のものが、
ぱたぱたぱたぱたぱたもなぎながら、流れて参りました。
流されているのは、たしかに痩せたひばりの子供です。
ホモイはいきなり水の中に飛び込んで、前あしでしっかりそれを捉まえました。
力一杯にひばりの子を岸の柔らかな草の上に投げあげて、自分も一とびはね上りました。
その時、空からヒュウと
矢のように降りて来たものがあります。
それは母親のひばりでした。
ホモイは、或る雲の無い静かな晩、
南の空を、赤い星がしきりにななめに走りました。
すると不意に、二疋の小鳥が降りて参りました。
「ホモイさま。あなたさまは私ども親子の大恩人でございます。」
母親のひばりは、
「これは私どもの王からの贈物でございます。」と云いながら、
ひばりはさっきの赤い光るものをホモイの前に出して、
「これは貝の火という宝珠でございます。王さまのお言伝いでは
あなた様のお手入れ次第で、この珠はどんなにでも立派になると申します。
どうかお納めをねがいます。」
ひばりの親子はニ三遍お辞儀をして飛んで行ってしまいました。
ホモイは玉を取りあげて見ました。
玉は赤や黄の焔をあげてせわしくせわしく燃えているように見え
天の川が綺麗にすきとおっています。
「おっかさん。僕はもう大将になったんです。」
ホモイが悦んで踊りあがりました。
「もうみんな僕のてしたなんだ。狐なんかもうこわくも何ともないや。
おっかさん。りすさんを少将にするよ。
馬はね、馬は大佐にしてやろうと思うんです。」
おっかさんが笑いながら、
「そうだね、けれどもあんまりいばるんじゃありませんよ。」と申しました。
目の前を意地悪な狐が風のように走って行きます。
ホモイはぶるぶる顫えながら思い切って叫んで見ました。
「待て。狐。僕は大将だぞ。」
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オツベルと象
宮沢賢治・作
荒井良二・絵
オツベルときたら大したもんだ。
稲扱器械(いねこききかい)の六台も据えつけて、のんのんのん
のんのんのんと、大そろしない音をたててやっている。
そこへどういうわけか、白象がやって来た。
パイプを右手にもち直し、度胸を据えて斯う云った。
「どうだい、此処は面白いかい。」
「面白いねえ。」象がからだを斜めにして、眼を細くして返事した。
「ずうっとこっちに居たらどうだい。」
百姓どもははっとして、息を殺して象を見た。
象はけろりとして
「居てもいいよ。」と答えたもんだ。
「そうか。それではそうしよう。そういうことにしようじゃないか。」
オツベルが顔をくしゃくしゃにして、まっ赤になって悦びながらそう云った。
どうだ、そしてこの象は、もうオツベルの財産だ。
いまに見たまえ、オツベルは、あの白象を、はたらかせるか、サーカス団に売りとばすか、どっちにしても万円以上もうけるぜ。
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おきなぐさ
宮沢賢治・作
陣崎草子・絵

春の二つのうずのしゅげの花は
すっかり、ふさふさした銀毛(ぎんもう)の房にかわっていました。
ひばりがひくく丘の上を飛んでやって来たのでした。
「今日は。いいお天気です。どうです。もう飛ぶばかりでしょう。」
「ええ、もう僕たち遠いところへ行きますよ。
どの風が僕たちを連れて行くかさっきから見ているんです。」
「どうです。飛んで行くのはいやですか。」
「なんともありません。僕たちの仕事はもう済んだんです。」
「恐かありませんか。」
「いいえ、飛んだってどこへ行ったって
野はらはお日さまのひかりで一杯ですよ。」
「そうです、そうです。なんにもこわいことはありません。
もし来年も居るようだったら来年は僕はここへ巣をつくりますよ。」
蛙のゴム靴
宮沢賢治・作
松成真理子・絵
雲のみねはだんだんぺネタ形になって参りました。
ぺネタ形というのは、蛙どもには大へん高尚なものになっています。
平たいことなのです。
カン蛙ブン蛙ベン蛙の三疋は、カン蛙の家のつゆくさの広場に座って、雲見ということをやって居りました。
「この頃、ヘロンの方ではゴム靴がはやるね。」ヘロンというのは蛙語です。
人間ということです。
「うん。よくみんなはいているようだね。」
「僕たちもほしいもんだな。」
カン蛙は、
「野鼠さん。今晩は。一つお前さんに頼みがあるんだが、ゴム靴を一足工夫しえ呉れないか。」
「いや、それはきいてあげよう。去年の秋、僕が蕎麦団子を食べて、チフスになって、ひどいわずらいをしたときに、あれほど親身の介抱を受けながら、その恩を何でわすれてしまうもんかね。」
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「や、カン君はもうゴム靴をはいてるね。」
一疋の美しいかえるの娘がはねて来てつゆくさの向こうからはずかしそうに顔を出しました。
「お父さんが、おむこさんを探して来いって。」娘の蛙は顔を少し平ったくしました。
「僕なんかはどうかなあ。」ベン蛙とブン蛙が云いました。
娘の蛙は左手で顔をかくして右手の指をひろげてカン蛙を指しました。
ベン蛙とブン蛙はぶりぶり怒って、いきなりくるりとうしろを向いて帰ってしまいました。
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かしわばやしの夜
宮沢賢治・作
中野真典・絵
画かきは顔をしかめて、しょんぼり立ってこの喧嘩をきいていましたが、このとき、俄かに林の木の間から、東の方を指さして叫びました。
「おいおい、喧嘩はよせ。まん円い大将に笑われるぞ。」
見ると東のとっぷりとした青い山脈の上に、大きなやさしい桃いろの月がのぼったのでした。
お月さまのちかくはうすい緑いろになって、柏の若い木はみな、まるで飛びあがるように両手をそっちへ出して叫びました。
「おつきさん、おつきさん、おっつきさん、ついお見外れして すみません
あんまりおなりが ちがうので ついお見外れして すみません。」
柏の木大王も白いひげをひねって、しばらくうむうむと云いながら、じっとお月さまを眺めてから、しずかに歌いだしました。
「こよいあなたは ときいろの
むかしのきもの つけなさる
かしわばやしの このよいは
なつのおどりの だいさんや
やがてあなたは みずいろの
きょうのきものを つけなさる
かしわばやしの よろこびは
あなたのそらに かかるまま。」
画かきがよろこんで手を叩きました。
「うまいうまい。よしよし。夏のおどりの第三夜。
みんな順々にここに出て歌うんだ。

雪わたり
宮沢賢治・作
いもとようこ・絵
「かた雪かんこ、しみ雪しんこ。」
四郎とかん子とは小さな雪ぐつをはいてキックキックキック、野原に出ました。
「しみ雪しんしん、かた雪かんかん。」
といいながら、キシリキシリ雪をふんで白いきつねの子が出てきました。
「四郎はしんこ、かん子はかんこ、きびのだんごをおれやろか。」
かん子そっと歌いました。
「きつねこんこんきつねの子、きつねのだんごはうさのくそ。」
すると子ぎつね紺三郎が笑っていいました。
「いいえ、けっしてそんなことはありません。
わたしらは全体いままで人をだますなんてあんまりむじつの罪をきせられていたのです。」
四郎がおどろいてたずねました。
「そいじゃきつねが人をだますなんてうそかしら。」
子ぎつねの紺三郎がうれしがって腕をばたばたしていいました。
「そうですか。そんなら今度幻灯会のときさしあげましょう。
幻灯会にはきっといらっしゃい。
この次の雪のこおった月夜の晩です。」
幻灯は第一が『お酒をのむべからず』。
第二が『わなに注意せよ』。
キック、キック、キック、キック、トン、トン、トン。
かわいらしいきつねの女の子が、きびだんごをのせたおさらを二つ持ってきました。
四郎がいいました。
「ね。たべよう。おたべよ。ぼくは紺三郎さんが、ぼくらをだますなんて思わないよ。」
そして二人はきびだんごをみんなたべました。

洞熊学校を卒業した三人
寓話
宮沢賢治・作
大島妙子・絵
赤い手の長い蜘蛛と、銀いろのなめくじと、顔を洗ったことのない狸が、いっしょの洞熊学校にはいりました。
洞熊先生の教えることは三つでした。
一年生のときは、うさぎと亀のかけくらのことで、も一つは大きいものがいちばん立派だということでした。
それから三人はみんな一番になろうと一生けん命競争しました。
そして一しょに洞熊学校を卒業しました。
三人は上べは大へん仲よさそうに、洞熊先生を呼んで謝恩会ということをしたりしましたけれども、
お互いにみな腹のなかでは、へん、これから誰がいちばん大きくえらくなるか見ていろと、そのことばかり考えておりました。
さて会も済んで三人はめいめいじぶんのうちに帰っていよいよ習ったことをじぶんではほんとうにやることになりました。
洞熊先生の方もこんどはどぶ鼠をつかまえて学校に入れようと毎日追いかけて居りました。
ちょうどそのときはかたくりの花の咲くころ
たくさんのたくさんの眼の碧い蜂の仲間が、日光のなかをぶんぶんぶんぶん飛び交い
一つ一つ小さな桃いろの花に挨拶して密や香料を貰ったり、
そのお礼に黄金いろをした円い花粉をほかの花のところへ運んでやったり、
あるいは新しい木の芽からいらなくなった蠟を集めて六角形の巣を築いたり
もういそがしくにぎやかな春の入口になっていました。

いちょうの実
宮沢賢治・作
及川賢治・絵
鋭い霜のかけらが風に流されてサラサラサラサラ南の方へ飛んで行きました。
丘の上の一本いちょうの木に聞こえる位澄み切った明け方です。
いちょうの実はみんな一度に目をさましました。
そしてドキッとしたのです。
今日こそはたしかに旅立ちの日でした。
そうです。この銀杏の木はお母さんでした。
今年は千人の黄金色の子供が生まれたのです。
そして今日こそ子供がみんな一緒に旅に発つのです。
お母さんはそれをあんまり悲しんで扇形の黄金の髪の毛を昨日までにみんな落としてしまいました。
突然光の束が黄金の矢のように一度に飛んで来ました。
子供らはまるで飛びあがる位輝きました。
お日様は燃える宝石のおうに東の空にかかり、あらんばかりのかがやきを悲しむ母親の木と旅に出た子供らとに投げておやりなさいました。

やまなし
宮沢賢治・作
川上和生・絵
小さな谷川の底を写した二枚の青い幻燈です。
一、五月
二疋の蟹の子供らが青じろい水の底で話していました。
『クラムボンはわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわたったよ。』
『クラムボンは跳ねてわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわたったよ。』
上の方や横の方は、青くくらく鋼のように見えます。
そのなめらかな天井を、つぶつぶ暗い泡が流れて行きます。

11.3
この数字が「雨ニモマケズ・・・」の文章の最初に書かれています。
昭和六年の十一月三日だろうと言われています。
宮沢賢治が亡くなる二年前です。
賢治の死因は結核でしたが昭和六年の十一月頃はきっと苦しい時期だたろうと思うのです。
私の祖父、清六は賢治の八才年下の弟です。
その祖父が、「『雨ニモマケズ』は賢さんは作品として書いたのではないよ。
あれは祈りだよ。」と言っていたのが心に焼きついています。
「東に病気ノコドモアレバ行ッテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ行ッテソノ稲の束ヲ負イ・・・」と東西南北に書かれたこの部分「行ッテ」が特に大事だというのです。
賢治にとって「法華経(ほけきょう)」をこの世で実践することがなにより大事であり、智恵や知識があっても行動しなければ意味がないからです。
行動こそ「行ッテ」なのだそうです。