はるかな湖
アレン・セイ 作・絵
椎名誠 訳
土曜日。朝早く起こされた。
「さあ、キャンプにいくぞ!」とうさんが言った。
・・・・・
とうさんのいくほうには道などなかった。
「まいごにならない?」
まるで、とうさんとぼくのほかは、この世にだれもいないようだった。

「家にいる、いつものとうさんとずいぶんちがう」
「どうしてだい?」
「たくさん話をしてくれるから」
その夜はなんだか安心して気持ちよくねむった。
とうちゃんは かんばんや
平田昌広・作
野村たかあき・絵
こうじげんばの うらには ちいさな のみやが あって
ぼくと かあちゃんは ときどき この のみやに いくんだ。
とうちゃんを むかえにね。
ごきげんに よっぱらった とうちゃんは かあちゃんに よりかかって あるく。
そんな とうちゃんだけど
かあちゃんは とうちゃんが すきで
とうちゃんは かあちゃんが すきなんだ。
ぼくも とうちゃんが だいすきで
とうちゃんが かく かんばんが だいすきだ。

せなかをとんとん
最上一平・作
長谷川知子・絵
そのひ しんぺいは、はじめて さかあがりが できるように なりました。
はやく おとうさんに みせたい、びっくりするぞ!
・・・・・
あっ!おとうさん!
あしにも てにも うんと ちからを いれて、しんぺいは おもいっきり はしりました。
とうとう おいつきました。
しんぺいは おとうさんの せなかを、とんとんと たたきました。
おとうさんは びっくりして、ふりむきました。
しんぺいの おとうさんの みみは、きこえません。

ねえ とうさん
佐野洋子
「ねえ とうさん、はしが ながされているよ」
くまの子は いいます。
「よしよし」
とうさんは おおきな きを バキッと おると、
かわに はしを わたしました。
「すごい! とうさん」
「ねえ とうさん、ぼく、とうさんの子どもで うれしいよ。
すごく とうさんらしいもの」
くまの子は とうさんを みあげて、いいました。
「おれは ただ、くまらしいだけさ。くまだからね」

すきすきちゅー!
イアン・ホワイブラウ ぶん
ロージー・リーヴ え
おびかゆうこ やく
おひさまが しずむころ、ちゅーちゃんの
おとうさんは、でかけるしたくを はじめました。
「ちゅーちゃん、おるすばんの あいことばを
おぼえているかい?」
かけがね がちゃん、
かぎを かちゃ。
カーテン しゅっしゅっ、
あかりを ぽっ。
「じゃあ、いってくるよ」
あっ、わすれてた!
「ねえ、とうちゃーん!
まってー!」

すえっこ おおかみ
ラリー・デーン・ブリマー/ぶん
ホセ・アルエゴとアリアンヌ・デューイ/え
まさきるりこ/やく
とうさんおおかみは、こどもたちが ひなげしの はらっぱで あそんでいるのを じっと みていました。
ほかの こどもたちのように あそんでいない こが いました。
「ちびや、どうして おまえは、にいさんや ねえさんたちと いっしょに あそばないのだね?」
「だって まっすぐ ころがれないから」
「どれ、いっぺん やって みせてごらん」
うねうね
まがりくねりながら ころがって いきました。
「ほうらね」
「それで いいんだ。まっすぐ ころがるのは おおきくなってからだ」

かばさん
やべ みつのり
あるひ みつこと おとうさんは、でんしゃに のって、
かばを みに いきました。
「かばさん、いたいた。かばさん ねてるね」
「おとうさんみたい」
「あかちゃんかばが いる。あかちゃん ちいさいね」
「あれれ、もぐっちゃった。あかちゃん いなくなった」
「あかちゃん でたあ」
「かばさん あくびしてる」
「あっ、あかちゃんかばが おなかに のってる」
