いろいろ色のはじまり
田中陵二 文・写真
土を焼く–土の赤や黄色
人間が手にしたはじめての絵の具は、鉄さびの赤茶色でしょう。
鉄分が多い土は、だいたい鉄さびの赤茶色やおうど色をしています。
こういう土をとってきて、大むかしは壁画などの絵の具の材料にしました。
土からだけはなく、生きものからも鉄のさびがとれます。
鉄の多い土地では、鉄バクテリアという水の中にすむ小さないきものが、石や土の中から鉄分をひっぱりだして、赤や黄色のさびをじぶんのからだのなかにためこみます。
これを焼くとまっ赤な色のもとがとれます。
日本の縄文人は、よくこの色を集め絵の具としてつかいました。
地球の上にある成分を、多いじゅんにならべると、酸素、ケイ素、アルミニウム、鉄・・・とつづきます。
ケイ素やアルミニウム、鉄はいつも酸素とくっついています。
酸素とくっつくとさびます。
さびたケイ素やアルミニウム、には色はありませんが、鉄には色があります。
そのため、地球表面でいちばんありふれた色が、酸素鉄、つまり鉄のさび色なのです。
きれいに消える色
友禅染めという染めものの細かい下絵を描くのに、むかしからツユクサの花の青がつかわれています
ツユクサの青はあざやかで、水によく溶けます。
いまから400年ほどまえに、滋賀県草津市でツユクサの変わり種のオオボウシバナ(アオバナ)がみつかり、これを栽培して汁を集めてつかいはじめました。
下絵は、水で洗ったら完全に消えることがだいじです
花の色の多くは水に溶けやすくて染め者に向きませんが、洗うと消えてしまう花の色も、こうして上手につかっています
似た色を化学的につくりだした染料もありますが、このオオボウシバナの色素のように、きれいさっぱりとは消えてくれないそうです
