みんなの絵本 大っきい子の絵本

スリランカの昔話 2025関西EXPOで

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ふしぎな銀の器

シビル・ウェツタシンハ 再話・絵
松岡享子 市川雅子 訳

むかしむかし、あるところに、王さまとおきさきさまがいて、王子が三人ありました。

ある日、王さまは、ふしぎな夢をみました。
地面がぱっくりわれて、そこから、世にも美しい銀の木がはえてきたのです。
枝という枝に銀の花がさき、銀の実がなりました。
銀のオンドリが、木のてっぺんにとまり、三たび、高らかにときをつげたのです。
王さまは、夢ではなく、自分の目で、その木をみたいと思いました。

そこで、三人の王子をよぶと、
「わしは、あのふしぎな銀の木を,この目でみたい。
むすこたちよ、あの木をさがしてきてほしい。
木をもちかえった者を、つぎの王としよう」

三人の王子たちは、旅にでましたが、
王さまの夢をみつけるのみ、どちらにむかっていけばいいかさえ、わかりませんでした。

かさどろぼう

シビル・ウェツタシンハ 作・絵
いのくま ようこ 訳

むかし、スリランカの しまに、ちいさな むらが ありました。

むらの ひとたちは、まだ かさを みたことが ありませんでした。
あめが ふったら、バナナや ヤムいもの はっぱを、かさの かわりにしたり、
ふくろや きれや かごを かぶったりしていました。
このむらに、キリ・ママという おじさんが いました。

あるひのこと、キリ・ママおじさんは、うまれてはじめて まちへ でかけました。

「みんな、おおきな はなみたいなものを もっているな。あれは いったい なんだろう」

それは、つよい ひざしを よけるために みんなが さしていた かさだったのです。
みどり、あか、きいろ、あお、はなもようや みずたまもよう、しまもよう いろいろな かさが あります。

かさやを みつけて はいり あれこれ てにとって みたあげく、やっと いちばん きにいった かさを かいました。

「みんな、きっと びっくりするに ちがいない。
むらに かさを もってかえるのは、きっと わしが はじめてだ」

バスていの そばには、コーヒーの おみせが あって、しゅじんが みせばんを していました。

みせの しゅじんには かさを みせないことに きめました。

きれいな かさを みせびらかすなら、ひるまのほうが めだっていい、とおもったのです。

コーヒーを のんだり しばらく おしゃべりを してから、おじさんは たちあがって そとに でました。

「おやっ、たいへんだ。かさが ないぞ!」

がっかりにた キリ・ママおじさんは、とぼとぼと うちに かえりました。

ねこのくにの おきゃくさま

シビル・ウェツタシンハ 作・絵
まつおか きょうこ やく

うみをこえたはるかかなたに、ねこのくにがありました。

ねこのくにのひとたちは、みなはたらきものでした。

でも、たのしむことを しりませんでした。

あるひ、うみのむこうから、ひとが ふたり

ふたりは、おおきな おめんを つけていて、
めのさめるような いろの いしょうを きていました。

そして、ひとりが、つつのような ものを たたいて、
もう ひとりが、それに あわせて、うたをうたいました。

やがて、おうさまの みみに とどき
ふたりを、ごてんに まねきました。

「ようこそ、ねこのくにへ おいでくだされた」

ふたりは、おんがくに あわせて、
とんだり、はねたり、くるくる まわったり、
とんぼがえりを うったりしました。

だれもかれも、すっかり、まんぞくしました。

おうさまが、「どうぞ、おめんを おとりくだされ」と、

「すえながく、ゆうじんとして おつきあい ねがいたいとおもっておる」

「おめんを とっても、わたしたちの いのちは まもる、と・・・」

「やくそくしょう、おうの めいよにかけて」と、おうさまは いいました。

ふたりは、ゆっくりと おめんを とりました。

これは、また、なんと!

きつねのホイティ

シビル・ウェツタシンハ 作・絵
まつおか きょうこ やく

スリランカの ちいさな むらに、アンゴウ、マンゴウ、ランゴウというなまえの、
おかみさんが、とても なかよく くらしていました。

むらはずれの もりに、くいしんぼう きつねの ホイティが すんでいました。

あるばん、アンゴウさんと だんなさんが、ばんごはんを たべていました。

きつねのホイティは、ものほしばの、せんたくものを みにつけ

あわれっぽい つくりごえをだして
「ひとくち、たべさせて くださいませんか?」

アンゴウさんは、おきゃくにも、ごはんと、カレーと、
さかなのフライをだし、そのあと、はちみつの たっぷりかかった
ヨーグルトもだして、もてなしました。

ホイティは、なにもかも、たいらげ
ふかく おじぎをして、 おれいを

このとき、アンゴウさんは、ふさふさした しっぽが
はみだしているのに きがつきました。

きつねのようすが、あまり おもしろかったので、わざと、きがつかない ふりをしました。

しばらくして、ホイティは、マンゴウさんの いえに・・・
そして、ランゴウさんの うちにも あらわれ
おいしい ばんごはんを、もてなしてもらったが

アンゴウさんが、もりで きつねのホイティが、
うたを うたっているのを、ききました。

ホイティ トイティ この おれさまは なンとまあ あたまがいいんだろう
ばかなアンゴウは だまされて ばかなマンゴウ、ランゴウも だまされて
ごちそうして もてなした ホイティ トイティ ホイティティ!

三にんは、きつねが、じぶんたちの ことを ばか よばわりしたのに、すっかり はらをたてました。

あの きつねを、うんと からかってやろう、と いうことに なったもです。
そこで・・・

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