あのこ
宇野亜喜良
今江祥智
—わたし、馬と話ができるのよ・・・。
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—やっぱり、うそだったでねえか。
—わたしたちみんなに恥をかかせたわね。
と、にらみつけた。
あのこは、ひとこともいいわけせずに、くるりとふりむいて、太郎を見上げた。
(しってる。おまえはちゃんと馬と話したよ・・・)
—うそつきやあい。
あのこのうしろから、みんな森のサルになって、わめきたてた。
もりで うまれた おんなのこ
礒みゆき 作
宇野亜喜良 絵
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ひっそりと ひろがる みずうみには、そらの まんげつが もうひとつ、おりてきていました。
おんなのこは ふと、あの かがみのことを おもいだしました。
「ねえ、くまさん、わたしは いいこ?」
くまは わらって いいました。
「いいこか わるいこかなんて どうでも いい。
ぼくは きみのことが だいすきで、
ふたりで いっしょに いるだけで うれしいんだ」
おんなのこが うなずきました。
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マイマイとナイナイ
皆川博子 作
宇野亜喜良 絵
東 雅夫 編
まぶたを ひらくと
くるみの からも ひらく。
まぶたを とじると
くるみの からも とじる。
ちいさい ちいさい ナイナイは
くるみの なかから そとを みる。
マイマイが ねむっているとき
ナイナイは、そっと からを あけた。
せむしの子馬
原作 エルショーフ
文 舟崎克彦
絵 宇野亜喜良
やがてイワンは引きたてられて
王さまの前にひれふしました
「こらイワン おまえはよくも
国の宝をかくしておったな
もしも死刑になりたくなけりゃ
二週間は待ってやる
さっさとこの城をあとにして
火の鳥をとらえてくるがよい」
イワンはしょんぼり首うなだれて
泣く泣くうまやへもどって来ます
せむしの小馬はそれを見て
イワンにやさしくたずねます
白猫亭
追憶の多い料理店
宇野亜喜良
Deuxieme service
作り方
1.出会いに下味を付けます。
運命的であればあるほど、ひりひりとした味に仕上がりますので、塩胡椒は控えめに。
2.千日分にも匹敵する濃厚な時間を、幽(かす)かに甘いランプの光でいぶします。
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いかがでしたか?
ここは、追憶の波止場にある白猫亭。
Au revoir.またお会いしましょう。
フィンの伝説
宇野亜喜良:絵
舟崎克彦:文
英雄フィンの母親マーナは、神の一族ヌアザの子孫でした。
彼女は敵の一族モーナ家の者に夫をころされると、森ににげて男の子を生みました。
その子は金色の髪に、ぬけるような白い肌をもち、こよなくうるわしかったので
フィン - 白く美しい子 -とよばれました。
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