みんなの絵本 大っきい子の絵本

うつらうつら『赤羽末吉』が描く 日本の神話 第四~六話

更新日:

第四巻
いなばのしろうさぎ

赤羽末吉 絵
舟崎克彦 文

大国主の命(おおくにぬしのみこと)には、
八十神(やそがみ)とよばれる
兄弟たちがいた

兄弟たちは、因幡(いなば)の国の
八上姫(やがみひめ)を嫁にしようと・・・
大国主の命は、兄弟たちの荷を背負い したがった

一羽のうさぎが、皮をはがされて
泣きふせっていた

兄弟たちは
「やい、うさぎ
海の水で からだをあらってみよ」
・・・・・

からだが ひきちぎられるように くるしい

そこへ、大国主が
「おや、うさぎ どうしたのだ」

「じつは・・・

海の さめたちに
『おうい、うさぎのかずと
さめの かずの
どちらが おおいか、
くらべてみないか』

『・・・・・
おまえたちの背中を とびながら
かずを かぞえてやろう』

さいごの一尾(いちび)と いうところで
『やいやい、だまされたな
海を わたりたかったのさ』
口走ってしまったのでございます

はらをたてた さめは
わたしの皮をはぎとり・・・」

「・・・・・
真水で塩をあらいおとし、
蒲(がま)の花粉をしきちらした上に
ころがりなさい」

・・・・・・

姫は兄弟たちに
「わたくしは
大国主の命さまのみもとに
嫁ぐつもりです」

八十神たちは
にくい大国主の いのちをうばおうと

「赤いのししを山の上から
おいたてるから
ふもとで ひっとらえよ」

兄弟たちは
いのししの かたちをした岩を
火で やき
つきおとしたのである

・・・・・

大国主の命は、よみがえったが

なお 兄弟たちは、大国主の いのちを つけねらった

母神は思いあまって
「いっそ、黄泉の国(よみのくに)へ
御先祖の 須佐之男の命(すさのおのみこと)が
きっと おまもりくださる」

大国主の命は
黄泉の国へ

いなばのしろうさぎ
の 話しには、こんな続きがあったのです。

第五巻
すさのお と おおくにぬし

赤羽末吉 絵
舟崎克彦 文

黄泉(よみ)の国

大国主の命(おおくにぬしみこと)は
須佐之男の命(すさのうみこと)の
やかたで ひとり娘
須勢理姫(すせりひめ)に出会った

「世にも りっぱな方が
たずねて みえました」
大国主の命に一目ぼれ

須佐之男は姫が
大国主を好いているらしいことを知って
きげんを そこねたのであった

「へびの室(むろや)へ案内してやれ」
姫に命じた

姫は 『へびの布』と よばれるものを
ぬいで わたした


あたりは まっくら

うえた へびどもは
おともなく せめぎ よせてきたが、
大国主が とっさに布をふると
しりぞいて ゆくのであった。

次は
「むかで はちの室」に

・・・・・

そして、草むらで火だるまに されそうになったり

だが、大国主の命は、
須佐之男の寝ているすきに
・・・・・

須佐之男の命の宝と
須勢理姫を背負って
逃げ出したのである

まもなく大国主の命は
出雲(いずも)の国へ帰ると、
兄弟である八十神(やそがみ)たちを
追放して
末ながく国を治めることに
なったのである

父親の、露骨な嫉妬心。
さすが やんちゃな須佐之男の命
そして
打たれ強い 大国主の命やね

やるね!モテモテ男
出雲には、八上姫(やがみひめ)も?!・・・

第六巻
うみさち やまさち

赤羽末吉 絵
舟崎克彦 文

兄の火照の命(ほでりのみこと)は、
海幸(うみさち)といって
海の魚を釣るのが仕事

弟の火遠理の命(ほおりのみこと)は、
けものを とる仕事をしており
山幸(やまさち)と よばれた

ある日のこと、弟の山幸は
「兄さん、わたしの弓矢(ゆみや)と
あなたの釣針(つりばり)を
とりかえて みませんか」
海幸は しかたなく
願いを きいて やった

山幸は よろこび いさんで
さっそく海へ でかけたが、
海幸が大切にしている釣針を
なくしてしまった

兄は おこって何が何でも
かえしてくれ、
と いって きかない

山幸は浜へ出て泣きくれていた

潮の流れをつかさどる
塩椎(しおつち)の神の老人の
小舟に乗り、流されると、
やがて水底(みなそこ)の宮殿に
たどりついた

海神(かいじん)の娘
豊玉姫(とよたまひめ)は
山幸こと火遠理の命(ほおりのみこと)に
ひと目ぼれ

姫は山幸の嫁になり
三年ほどもたった ある夜のこと

海神(かいじん)に
なくした釣針のことを
初めて聞かせるのだった

鯛の のどに あの釣針が

海神(かいじん)は
針を兄上に お渡しになる時は
『ふさぎ針、たけり針
貧乏針、おろか針』
と、まじないを となえ
うしろ手で さし出すのです

兄上の田には水を やりません
あなたを憎んで
ころそうと するでしょう

そんな時
山幸は塩満玉(しおみつたま)で
水をのんで 海幸をおぼれさせ
また、塩乾玉(しおふるたま)で
水をひかせて いのちを すくって やりもした。
何度か くり返すうちに
海幸は もはや
山幸には かなわぬことを思い知ると
ついに両手をついて
あやまったのである

赤羽末吉さんの
やさしく 力強い
古代の絵にふれて下さい。

-みんなの絵本, 大っきい子の絵本

Copyright© うんとうんと絵本 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.