世界で いちばん つよい国
デビッド・マーキー 作
なかがわ ちひろ 訳
むかし、大きな国が ありました。
「われわれが せかいじゅうを せいふくすれば、みんなが われわれと おなじように しあわせに くらせるのだからな」
大きな国は、いろんな国へ、せんそうを しにいき、せいふく しました。

でも、とても小さな国だけ せいふくしていなかったのです・・・
なんと、この国には へいたいが いなかったのです。
これでは せんそうが できない。
へいわとせんそう
たにかわしゅんたろう ぶん Noritake え
へいわのうみ
せんそうのうみ

戦争をやめた人たち
・・・1914年のクリスマス休戦
鈴木まもる 文・絵
今から100年以上前の1914年、7月。
ヨーロッパをはじめ、多くの国をまきこむ戦争がはじまりました。
第一次世界大戦です。
その夜も、イギリス軍の兵士は、一日じゅうつづいた
ドイツ軍との銃のうちあいで、
つかれはて、ざんごうで休んでいました。
「きょうも一日、おわったね」
「ああ、つかれたな」
「うん?なに?」
それは、むこうのドイツ軍のざんごうからきこえる歌声でした。
ドイツ語なので、なんといっているのか、わかりません。
でも、そのメロディーはわかります。
クリスマスの歌、「きよし このよる」です。
「きょうは12月24日、クリスマス・イブなんだね」
「こっちも、歌おうか」
「いいのか? そんなことして」
若い兵士は、空にむかって歌いはじめました。
「きーよーし こーのよーる・・・」

すみれ島
今西祐行 文・松永禎郎 絵
九州の南のはしにちかい海べに、
小さな学校があった。
昭和二十年、春のこと、
いつからか、まいにちのように、
日の丸をつけた飛行機が、
その学校のま上を飛ぶようになった。
先生たちは知っていた。
それが、
かた道だけの燃料しか持たないで、
ばくだんとともに、
てきの軍艦に突入する
特攻機であることを。

秋
かこさとし
「落下傘が開かないんだ。!」
–かわいそうに、なんて不運な人なんだろう。
あの飛行士のお母さんは、
きっと今日もどこかで息子さんの無事を
祈っているだろうに–
びっちゃり地面にたたきつけられた
柿の実のような死に方を、
お母さんが知ったなら、
どんなになげかれることだろう。
せめてあの落下傘が開いてくれたなら、
たといまた、明日、死ぬかもしれないとしても、
今日一日は生きられたのに–

やくそく
ぼくらはぜったい戦争しない
那須正幹 さく
武田美穂 え
朝、学校へいくとき、ばあちゃんがいう。
「にいちゃん、いってらっしゃい」
ぼくはひとりっ子だから、弟も妹もいない。
1945年8月6日。
あの日、この町でなにがおこったか、ぼくだってしってる。
たった1発の原子爆弾で、おおぜいの人が死んだ。
ばあちゃんのにいさんの洋平さんも、そのひとりだ。
でも、いやだよ。
死んだ人に まちがわれるなんて。
ばあちゃんが、ぼくをまちがえるようになったのは、
ぼくが中学にかようようになってからだ。
洋平さんが死んだのと、おなじ年ごろ。

ひとの なみだ
内田麟太郎 文
nakaban 絵
せんそうが はじまる
でも ぼくは いかない
いくのは ロボットのへいたい
ぼくたちは うすうす しっていた
ロボットが していることを
しらないふりで あそびつづけた
ただ すうじだけを みつめながら
わくわくする すうじだけを

悲しい戦争よ 早く終われ!