ひさの星
斎藤隆介・作
岩崎ちひろ・絵
むかし、秋田の きたはずれ、かづの というところに、ひさという おなごのわらしが おってなあ。
そう、としは 十だったべか、十一だったべか—-。
このひさは、なんにも しゃべらん むくちな おなごわらしであったが、みんなで だれかのいえさ あそびにいくと、いちばんあとから、あがってきて、そっと うしろに すわるような わらしであった。
あるとき、ひさが かたや あしに かみきずだらけの けがをして かえってきた
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「なんと、ひさのおかげで おらえのわらし たすかった。
おおきな くろいいぬが、にわで はいはいしてた ぼっこに とびかかってな!
ひさが かぶさって まもってくれねえこったバ—-、なんともなんとも ありがたかったであんす!」
ひさは、そういう おなごわらしであった。
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