モノクロ線画の絵に強く不思議な魅力を感じ、
エドワード・ゴーリーの全てに触れたくなります。
こわい本は、眠れなくなるのでイヤです。
「シンデレラ」の原作、靴に合わせるために足の指を切るとか・・・
なぜか、エドワード・ゴーリーの絵本には残酷な感じがしない。
柴田元幸氏の、幼児向けでない翻訳だから、エドワード・ゴーリーのモノクロ線画が活きています。
エドワード・ゴーリー
Edward Gorey
1925年- 2000年
シカゴ生まれ
独特のモノクロ線画、ユニークな作品
挿絵、劇場の舞台美術
うろんな客
The Doubtful Guest
家の中に突然現れた
妙ちくりんな生き物
大食い
壊す
夜中にさまよう
頑固
癇癪持ち
―というような奴がやって来たのが
十七年前のことで、今日に至っても
いっこうにいなくなる気配はないのです。
この奇妙な生き物は、
エドワード・ゴーリー自身では?
それとも
子供への不可思議感?
この絵本は、小さい子供が手に取っても、楽しむことができると思います。
奇妙なキャラクター、ユニークな作品です。
おぞましい二人
翌日の夜明けには、もう死体は埋められ、散らかった後始末も済んだ。
二人は食卓について、コーンフレークと糖蜜、カブのサンドイッチ、合成グレープソーダの朝食をとった。
Someone threw a putrescent rat in Mona’s face as she was being taken into the building where the court was.
現実に起きた陰惨な出来事。
1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」。
男女が、4年にわたり5人の子供を残虐に殺して荒野(ムーア)に埋めていた事実が明らかになり、イギリス中の人々を震撼させた。
子供に読み聞かせる絵本?
でも、緻密な絵と短い文章で全てが読み取れる。
素晴らしい絵本です。
音叉(おんさ)
THE TUNING FORK
海の底に住む奇怪巨大な生き物が、
不細工な少女シオーダを、
うとんだ冷酷な家族全員を、
溺死させるという絵本。
前から巻き毛にあこがれていたシオーダは
いまや 真珠の連なりで頭を飾った
「痛み入ります。」
と、いう言葉が浮かんだ。
題名の『音叉』も気になります。
音の共鳴!
人の共感?
ずぶぬれの木曜日
The Sopping Thursday by Edward Gorey
傘をどこかに置き忘れた
傘を持ち運ぶのは好きじゃないんだ
あたし 雨は嫌いじゃないの
雨の日にありそうな事、思う事です。
でも、
子供はなぜか 傘のなかに閉じ込められてしまった
そして、
きっとやりとげるぞ
やりとげるまで あきらめないぞ
犬が意気込むのです。
エドワード・ゴーリーの、ほのぼのとした実体験?
数少ないハッピーエンドの一つです。
雑多なアルファベット
The Eclectic abecedarium
手のひらサイズの豆本。
エドワード・ゴーリーの作品には珍しい教訓めいた絵本。
No(ノー)
つれない一言 悲しみの元。
Yawn(欠伸)
欠伸(あくび)するたび 三文の損。
と思いきや
X(X)
Xの字は 苛(いら)つく字。
Indian Ink(墨汁)
赤子泣くとも 墨汁(ぼくじゅう)飲むな。
意味解らん?
でも、ますますエドワード・ゴーリー好きになった。
不幸な子供
Hapless Child
両親を亡くしたシャーロットは
寄宿学校に入れさせられ。
学校でシャーロットは 先生たちから
してもいないことで 罰せられました。
ホーテンス(シャーロットの人形)は、
ほかの生徒たちに 八つ裂きにされてしまいました。
・・・・・
実は生きていたお父さまが 帰国なさいました。
・・・・・
瀕死の子供を目にしました。
あまりの変わりように、お父さまは
それが自分の娘とはわかりませんでした。
思い浮かんぶのは『小公女』
でも、全く救いようのない
いじめの連続!
不幸なラスト!
容赦ないエドワード・ゴーリー。
蟲の神(むしのかみ)
THE INSECT GOT
行方知れずのミリセント
生きているなら いまいずこ
・・・・・
不気味な言葉と、不気味なモノクロームの線画で始まる。
飴を差し出す その腕は
肱(ひじ)二つなり 此は奇怪
・・・・・
救われないミリセント。
救われない絵本。