世界で いちばん つよい国
デビッド・マーキー 作
なかがわ ちひろ 訳
むかし、大きな国が ありました。
「われわれが せかいじゅうを せいふくすれば、みんなが われわれと おなじように しあわせに くらせるのだからな」
大きな国は、いろんな国へ、せんそうを しにいき、せいふく しました。
でも、とても小さな国だけ せいふくしていなかったのです・・・
ひとつだけ のこしておくのも・・・?
そこで ある日、だいとうりょうと、へいたいたちは しゅっぱつしました。
なんと、この国には へいたいが いなかったのです。
これでは せんそうが できない。
小さな国の 人びとは、大きな国の へいたちたちを おきゃくのように かんげいしました。
へたいたちは、小さな国に 人びとと おしゃべりをし
めずらしい 石けりを おしえてもらい、
むかしばなしに 耳を かたむけました。
小さな国の 歌を ならい
じょうだんを きいて わらいころげました。
食べものも おいしい!
すっかり へいたいたちは たるんでしまった
だいとうりょうは おこり へいたいたちを ひきいて、国に 帰っていきました。
ところが、あちこちの家から、小さな国で たべていた りょうりの においが してきます。
小さな国の 石けりが はやっています。
小さな国の ふくを きている人も いました。
そして、だいとうりょうも せいふくした、あの 小さな国の 歌を 口ずさんでいました。
大きな国の 人びとは、じぶんたちの くらしほど すてきなものはないと、かたく しんじていました。
勝手な思い込み、押しつけ・・・
悲しい戦争よ 早く終われ!2022.4