たぬきの花よめ道中
最上一平・作
町田尚子・絵
きょうは たぬきのよめいりだ。
どこに よめに行くかっていうと、
大都会のどまん中だ。
「さあ、時間です。
みなさん、わすれものはありませんか」
「みなさん、ばけますよ。」
花よめの あさぎり姉さんは、
花かざりをつけ、
とっても きれい。
・・・・・・
「これが電車か。こりゃあ たまらん。目がまわる」
「どっちに行けば いいんでしょう?」
「こうも 人が多くては。」
「ほんと、こんなに たてものがあって」
・・・・・
「姉さん、どうしてこんなところに
およめに行くの?」
「だって、すきになったんだもの」
姉さんは、ウフフッとわらって はにかみました。
育てた娘 きょうはナーヨー
晴れてのヨ
オヤー およめいリー
ナーエー
おしあわせに!
小さな犬
町田尚子
「ボタンをなくしたことが悲しくて泣いているの?
それだったら、もう、だいじょうぶ。
ボクは小さな犬だけど、とっても鼻がいいんだよ。
ボクがすぐにみつけてあげる」
「クン、クン、クン、
ほら、みつけたよ!」
「これでもう悲しくないでしょう?」
「ありがとう。でも、なんだかまだ悲しいの」
小さな犬は
女の子のとながれる涙を
そっとなめてあげました。
「くすぐったい」
女の子は、小さくわらいました。
愛(*´з`)を!
おばけ にょうぼう
町田尚子 絵
内田麟太郎 文
おふたりは おばけの なこうどで ございます。
「で、どのような むこを おのぞみかな」
「まがったところのない おとこならば」
・・・・・
「で、どのような よめを おのぞみかな」
「いろが しろうて、めが ぱっちりで、かわいい くちもとの」
・・・・・
おみあいが はじまりました。
それにしても むすめは ようばけたものです。
さすがは おばけ。
たかさごや このうら ふねに ほを あげて~
絵(;゚Д゚)本当にすごいな~
だれのものでもない岩鼻(いわはな)の灯台(とうだい)
山下明生 文
町田尚子 絵
岩鼻に、古い灯台が たっていました。
ある日 とつぜん、
灯台は お役ごめんとなったのです。
・・・・・
「ちょっと、おじゃましても いいですか?」
「近所のものですが できたら、
曲がりできないかと おもいまして。
子どもが ふえたものですから」
のらネコ一家です。
そして、つぎつぎと
ムササビの家族
うりぼうをつれたイノシシ一家
カモメ!
「わるいけど、もう 一階から 三階まで ぜんぶ 満員だ」
「いや、わたしら、上のベランダで けっこうです」
・・・・・
「ホタルイカが、何の用だね?」
「はい。あなたさまの足もとから 海にかけて・・・」
「そんなところなら、すきにすれば」
・・・・・
「おう、かがやいてる、わたしのかげが!」
青くかがやく 自分のかげに、
うっとりと 見いっているのでした。
いい絵本です(^◇^)
マッチうりのしょうじょ
アンデルセン童話より
やなぎや・けいこ 文
町田尚子 絵
それは おおみそか ゆうがたでした
さむい さむい ひ
まちの とおりに ちいさな おんなのこ
「マッチは いかが?
マッチを かってくださいな。」
おんなのこは マッチうりでした。
「きょうは だれも マッチを かってくれなかった。
とうさんに ぶたれるわ。」
どこの いえからも おいしそうな
ごちそうの においが
あさから なにも たべていない おんなのこの
おなかが ぐうっと なりました。
「さむくて たまらないわ。
マッチを すったら、すこしは あたたかくなるかしら。」
でも、マッチの ひは きえてしまいました。
めの まえには、
つめたい かべが あるだけでした。
ツツーと ほしが ひとつ ながれます。
「あ、ながれぼし。だれかが しぬんだわ。」
それは、しんでしまった おばあさんが おしえてくれたことでした。
このよで たった ひとり、
おんなのこを かわいがってくれた おばあさんです。
おんなのこは また、マッチを すりました。
「あっ おばあちゃん!」
おばあさんは、おんなのこを やさしく だきしめました。
・・・・・
そして、ふたりは
解説に「マッチうりの少女」へのアンデルセンの想いが書かれていました。
アンデルセンの母は私生児として生まれ、物乞い同然の生活を送り、寒い冬の日、はだしで家々の戸口をさまよい歩いたといいます
アンデルセンは母の子ども時代を物語にしました
悲しい物語なのに、あったかい小さな希望がみえるのが不思議です
なまえのないねこ
竹下文子 文
町田尚子 絵
ぼくは ねこ。
なまえのない ねこ。
だれにも なまえを つけてもらったことが ない。
・・・・・
おそばやさんの ねこは、つきみ。
パンやさんの なかよしコンビは、
ハイジと、クララ。
・・・・・
「いいな。ぼくも なまえ ほしいな」
・・・・・
「ねえ。おなか すいてるの?」
あ。
やさしい こえ。
「きみ、きれいな メロンいろの めを しているね」
やっとめぐり会えた?!
さくらいろのりゅう
町田尚子
むかしむかし あるところに
ひとりのむすめが いました。
むらのひとたちから
「やくにたたない こいしのようだ」といわれ、
みなに コイシと よばれました。
コイシは いつも ひとりぼっちでした。
・・・・・
きれいないずみを コイシが すいめんを のぞきこんだ そのときです。
いずみから りゅうが あらわれました。
・・・・・
あるひ、コイシは はまべで ひろったかいを
てのひらに のせて いいました。
「りゅうに あげる」
すると、りゅうが じぶんのうろこを とって、
コイシに さしだしました。
そのようすを みていた おとこたちは
「さくらいろのかいを たくさん もってきたぞ!」
「おれたちにも りゅうのうろこを くれ!」
おとこたちは あつめたかいを りゅうに なげつけました。
しんぱいそうな コイシをみて
うろこを ほうりはじめました。
・・・・・
りゅうは めをとじたまま うごきませんでした。
コイシは あしもとに ちらばる かいを てに とって
りゅうのからだに のせてみました。
・・・・・