今から100年前に活躍した画家バーバラ・クーニー。
どの絵本も、長い物語です。
バーバラ・クーニーが自然を愛しているのがわかります。
木のタッチの繊細さは肝入りです。
バーバラ・クーニーが森の中でスケッチをして、木の家に住んでいたのではと想像します。
オーパルひとりぼっち
オーパル・ウイットリー 原作
ジェイン・ボルタン 編集
やぎたよしこ 訳
あたしと くらしている ママは、
あたしが やっかいもんだって いうのよ。
かなしくなると、あたしの 木と
いろいろな ことを おはなしするの。
その 木を、ラファエルって よんでるのよ。
・・・・・・・
きょう、あたしの かわいがっている ブタが、
がっこうまで ついてきてしまいました。
ブーブー いったけど、とても すてきな ブーブーだったの。
こう いいながら たってたのよ。
「あなたの がっこうに きましたよ。
どのクラスに いれてくれますか?」
・・・・・・・
この本について
「これは、わたしの5歳と6歳の頃の日記です。」
━オーパル・ウイットリー━
これほど小さい子が、日記を保存しておこうとこんなに熱心だったとは、ちょっと信じられないことです。
大きな、らんぼうな字は、しんせつな近所の女の人にもらったふうとうのうらに書かれました。
色鉛筆は”妖精”からもらったものでした。
1900年頃に生まれたオーバルによると、彼女はほんとうの両親が「天国に行った」あと、オレゴン州の一家族と暮らすためにやってきました。
何年間かにわたり、家族は、木を切りだして生活するキャンプを、19回もてんてんとしました。
そのあいだ、オーバルは日記をつけていたのです。
オーバルは日記を、ひみつの場所にかくしましたが、義理の姉さんが日記を見つけて、びりびりにやぶってしまいました。
オーバルは、だいじな紙きれを、まとめて箱にいれてとっておきました。
20歳のとき、オーバルはひとりの出版人と会い、その人は小さいときの日記を見たいとたのみました。
オーバルは、小さい紙きれを全部つなぎあわせて、のりづけするのに、9か月かかりました。
赤や緑や青の字をつなげていくのは、ばかでかいパズルをやるのに似ていました。
出版人はその日記をたいへん気に入り、一冊の本の形にして出版したのです。
『赤毛のアン』のアンのたくましさ、想像力のゆたかさを思い出しました。
オーパルも根っこにある、かしこさ、明るさで幸せになったことでしょう。
エマおばあちゃん
ウェンディ・ケッセルマン 文
バーバラ・クーニー 絵
もきかずこ 訳
きょうは エマおばあちゃんの 72さいの たんじょうび。
みんなは、いろんな おみやげを もってきて くれました。
でも、いつだって ゆっくりする ひまもなく かえってしまいます。
エマおばあちゃんの 72さいの たんじょうび、みんなは
おいわいに ふるさとの ちいさな むらの えを おくりました。
でも、
「あたしが おぼえている むらとは まるで ちがうわ」
・・・・・
エマおばあちゃんは、その絵に心を動かされなかったのです
・・・・・
あるひ とうとう、エマおばあちゃんは けっしんしました。
おみせに でかけて、えのぐと ふでと イーゼルを かったのです。
・・・・・・・
そして、とおい とおい ふるさとの むらの えを
なんまいも なんまいも かきまいた。
エマおばあちゃんは もう さびしいとは おもいません。
なつかしい ともだちや だいすきな けしきに かこまれているのですから。
明るく、やさしい色彩の絵本です。