おひさまいろの きもの
作・絵 広野多珂子
あるむらに ふう という おんなのこが いた。
ちいさいときに おもい びょうきをして、なにも みえなくなってしまった。
ふうは なかよしの さっちゃんと たみちゃんと やくそくしていた。
「あきまつり さんにんで いこうね」と。
たみちゃんの あきまつりの きものの ぬのを おる おとが きこえてきた。
「いいな。」
ふうには わかっていた。
ねのを おる いとを かえそうも ないことを。
それでも、ふうは かえりみち ずうっと おもいつづけた。
「ふうも あたらしい きものを きて あきまつりに いきたい」
「わかったわ」
「かあさん、ふうは おひさまのように あたたかい いろの きものが いいな」

おかあさん だいすき
訳・編 光吉夏弥
おかあさんの たんじょう日
文と絵 マージョリー・フラック
あるところに、ダニーという おとこの子が いました。
きょうは、おかあさんの たんじょう日です。
「おはよう、めんどりさん」
「おかあさんの たんじょう日に、なにか あげる もの ないかしら」
「こっ、こっ、こっ」と、めんどりは いいました。
「それじゃ、わたしが うみたての たまごを ひとつ あげましょう」
「でも、たまごなら、もう あるの」
「それじゃ、いっしょに なにか さがしに いきましょう」と、めんどりは いいました。

おかあさんの あんでくれたぼうし
スゥェーデンの おはなし
絵 大澤昌助
あるところに、アンデルスという、とても きれいな ぼうしを もっている おとこの子が いました。
それは、おかあさんが あんで くれた ぼうしでした。
ごてんの ぶどうかいへ・・・
おうさまは アンデルスの ぼうしを みて、にこにこして いいました。
「ほ、ほう、すてきな ぼうしを かぶって いるな!」
「でも、みんなが ほしがって こまるんです」
「わしのと ちょっと とりかえっこ しようじゃないか」
そして、きんの かんむりを とって さしだし、かたてで アンデルスの ぼうしを とろうと しました。

おんぶは こりごり
アンソニー・ブラウン 作
藤本朝巳 訳
「ママ、ゆうごはんは、まだかい」
みんながゆうごはんをすませると、
ママは、おさらあらい・・・
せんたくをして・・・
アイロンをかけて・・・
それから、あさごはんのよういもします。
ある日のゆうがた、こどもたちが、学校からかえってくると、
「おかえり」と、いってくれる人がいませんでした。
「しかたがない、ごはんをつくるか」
でも、よういするのは、たいへんでした。
それに、ひどい味でした。
つぎの日も、つぎのばんも、また、そのつぎの日も、
ママは、かえってきませんでした。
まもなく、家は、ぶたごやのようになりました。
