ポールO.ゼリンスキーの力強く、
美しい絵にふれてください。
『せかいいち大きな女の子のものがたり』に、
出会ったときは
ユニークな物語と、
すばらしい絵に感動しました。
せかいいち 大きな女の子の ものがたり
ポール o.ゼリンスキー 絵
アン・アイザックス 文
落合恵子 訳
アンジェリカが、アメリカの テネシーに 生まれたのは、1815年8月1日のこと。
生まれたときから、かあさんより 大きかったとは いえないし、
「おぎゃあ」と いって すぐに、木のぼりが できたわけじゃない。
だから せかいいち 大きな 女の子に なるなんて、
だれも かんがえてや しなかった。
・・・・・
1とうの とてつもなく 大きな クマが
たべものを ねらって、あちこちの 村をおそった。
・・・・・
力じまんを あつめて クマたいじを することになった。
・・・・・
アンジェリカとクマは戦った。
・・・・・
つかれはて休戦
・・・・・
それにしても、クマの いびき ときたら、
なだれ よりも すさまじく、
ごうごうと ひびいた。
アンジェリカの いびき だって、
あらしの 中を はしる きかんしゃの よう。
いびきの 大がっしょうは、
だいちを ぶるぶる ふるわせ、
大きな いわを うごかし、
木という 木を ゆさぶった。
その せいで、あさが くるまでに、
森の 木の ほとんどが、たおれて しまった。
楽しい絵本でしょ!
物語は、まだまだ楽しく続きます。
無名の作家アイザックの
『せかいいち大きな女の子のものがたり』の原稿を読み、
画家のゼリンスキーはとても気に入り
この絵本の雰囲気を盛り上げるために、
本物の木をけずった薄い板に絵を描こうときめました。
「木目のはっきりしたのがいい!」
しかし、トラブル続き
特別な板(というよりも木製の紙といったほうがいいでしょうか)
を扱う業者はつぶれてしまったり
やっと手に入れた紙が破損してしまったり
紙が厚すぎて製版の工程で処理できないので、
紙やすりをかけて薄くしたり
ようやく出来上がって印刷所に送ったら、
紙に吹き付けたニスのせいで上に紙がはりついてしまったり‥
しかし、さんざん苦労した甲斐はあったのです。
やっとのことで出版した、この本は、
たちまち全米で大評判になりました。
「パブリッシャーズ・ウィクリー」誌が選んだ
1994年のベスト・ブックスに入ったばかりでなく、
「ニューヨーク・タイムズ」紙による
最優勝絵本賞も獲得しています。